太平記をよみなおす 02

現在最も入手しやすい岩波太平記

日本古典文学の中でも屈指の知名度を誇る「太平記」ですが、つい最近までこれを原典のまま読もうとすると大変な困難を伴いました。こんなことを書くと、

「え?難しいの?大丈夫、大丈夫、古典は高校の時に得意だったから。」

と、お答えになる方がいらっしゃるかもしれません。いえいえ、文章が難しいという意味ではないのです。「太平記」は実は「平家物語」とか「源氏物語」、「枕草子」みたいに手軽に入手できなかったのです。

そんな馬鹿な!?と仰るかもしれませんが、現在でも「太平記」に対する出版社の冷淡な態度(笑)は徹底しています。

 

一方で源氏物語。この有名な作品をAmazonで検索すると、

というように、しっかりしたエディションがすぐに引っかかってきます。これに加え、与謝野晶子、谷崎潤一郎、瀬戸内寂聴と言った錚々たる作家さんたちによる「源氏」まで手に入れることができますから、特に学生さんたちにとって「源氏」はすごく身近な存在となっています。

これに比べ、「太平記」は岩波文庫から出るまでは、何と文庫で出版している会社はありませんでした。昭和時代はよく分かりませんが、少なくとも平成に入ってから見たことはないです。もちろん、新潮社と小学館の古典文学全集では読めましたが、文庫に比べて高価ですし、取り扱っている本屋も田舎では皆無に等しかった。

そんなわけで、岩波が文庫化してくれたのは本当にありがたかったです。現代語訳ではなく原文のままですが、丁寧な註がついており、これで難解と放り出す人はあまりいないと思います。

ただし、岩波書店はこのような稀少作品をいきなり絶版にすることが多々あり、例えば「南総里見八犬伝」と「古事記伝」は長らく復刊の兆しがありません。これらも他に容易に読む手段がありませんので、ぜひ岩波書店には英断をお願いしたいと思います。「太平記」もいつ絶版になるか分かりませんので、皆様、ぜひ一期一会とばかりにお早めにお買い求めください。

さて、岩波文庫版太平記は次のような構成になっています。

 

第1巻 原典第1巻~第8巻を収める。

 

第2巻 原典第9巻~第15巻を収める。

 

第3巻 原典第16巻~第21巻を収める。

 

第4巻 原典第22巻~第29巻を収める。

 

第5巻 原典第30巻~第36巻を収める。

 

第6巻 原典第37巻~第40巻を収める。