シャーロック・ホームズの冒険を冒険する Chapter 1

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多彩な翻訳が存在するホームズ作品集

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私はかつてこのブログで「三国志」や「宮本武蔵」、「西遊記」などを紹介しましたが、その中の登場人物である諸葛孔明や武蔵(たけぞう)、孫悟空といったキャラクターは古くから多くの読者を魅了し、またヒーローとして大変な人気を得てきました。

しかし、これらのキャラクターは日本・中国の小説の中に登場するヒーローです。では、西洋文学には?

これはあくまで私の主観ですが、「旧約聖書」のダビデや「ギリシア神話」のヘラクレスにいわゆる「萌え」を感じる日本人が多数存在しているとは思えません。アニメや2次創作などで、彼らのエッセンスがウケている場合はありますが、寝ても覚めても西洋の古い物語に浸っている方をお見掛けすることは稀です。

では、日本人が「西洋文学」のキャラクターに「萌え」を感じることは皆無なのか、というとそんなことはなくて、ゲーテの登場で文学に近代化がもたらされ、さらに19世紀末の出版文化の隆盛・大衆化によって娯楽小説が大量に生み出されたことで、日本人にも愛着のあるキャラクターはそれら作品とともに数多く流入してきました。

その最たるものが、コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」であり、モーリス・ルブランの「怪盗ルパン」であり、デュマの「三銃士」だったわけです。あと、シェイクスピアの諸作品やモンゴメリの「赤毛のアン」シリーズにも多数の熱狂的ファンがいらっしゃいます。

しかし、それらの中でも群を抜いて熱狂的ファンを抱えているのが、「シャーロック・ホームズ・シリーズ」と言えるでしょう。

ご存じのとおり、「シャーロック・ホームズ」は探偵小説の地位を確立した作品であり、近代イギリス文学の傑作でもあります。1887年から1927年にかけ、月刊小説誌「ストランド・マガジン」に60編(長編4、短編56)が発表され、当時のイギリス社会で大旋風を巻き起こしました。

ストランドマガジンに掲載されたホームズ

ホームズ人気の礎となったのは当然、作者コナン・ドイル(1859年5月22日 – 1930年7月7日)の筆力であったことは間違いないのですが、雑誌掲載時の挿絵作家、シドニー・パジェット(1860年10月4日 – 1908年1月28日)の功績も忘れてはいけません。ホームズの鹿撃ち帽とインヴァネス・コートという特徴的ないでたちは、パジェットによって考案されており、後年に創られた数々のホームズ映画、ドラマ、漫画の下地になりました。

また、印象的な影を多用する絵画手法もミステリ独特のワクワクする雰囲気づくりにぴったりで、当時の市民にはこのストランド誌の連載が最高の娯楽になったであろうことが想像できます。

それではここで、ドイルが著した正規のホームズ作品(外伝的なものは除きます)についてまとめておきましょう。

長編小説
A Study in Scarlet – 緋色の研究
The Sign of Four – 四つの署名
The Hound of the Baskervilles – バスカヴィル家の犬
The Valley of Fear – 恐怖の谷

短編集
The Adventures of Sherlock Holmes – シャーロック・ホームズの冒険


A Scandal in Bohemia – ボヘミアの醜聞
The Red-Headed League – 赤毛組合
A Case Of Identity – 花婿失踪事件
The Boscombe Valley Mystery – ボスコム渓谷の惨劇
The Five Orange Pips – オレンジの種五つ
The Man with the Twisted Lip – 唇のねじれた男
The Adventure of the Blue Carbuncle – 青い紅玉
The Adventure of the Speckled Band – まだらの紐
The Adventure of the Engineer’s Thumb – 技師の親指
The Adventure of the Noble Bachelor – 独身の貴族
The Adventure of the Beryl Coronet – 緑柱石の宝冠
The Adventure of the Copper Beeches – ぶな屋敷

The Memoirs of Sherlock Holmes – シャーロック・ホームズの思い出


Silver Blaze – 白銀号事件
The Cardboard Box – ボール箱
The Yellow Face – 黄色い顔
The Stockbroker’s Clerk – 株式仲買店員
The ‘Gloria Scott’ – グロリア・スコット号事件
The Musgrave Ritual – マスグレーヴ家の儀式
The Reigate Squire – ライゲートの大地主
The Crooked Man – 背中の曲がった男
The Resident Patient – 入院患者
The Greek Interpreter – ギリシャ語通訳
The Naval Treaty – 海軍条約文書事件
The Final Problem – 最後の事件

The Return of Sherlock Holmes – シャーロック・ホームズの帰還


The Adventure of the Empty House – 空き家の冒険
The Adventure of the Norwood Builder – ノーウッドの建築業者
The Adventure of the Dancing Men – 踊る人形
The Adventure of the Solitary Cyclist – 孤独な自転車乗り
The Adventure of the Priory School – プライオリ学校
The Adventure of Black Peter – ブラック・ピーター
The Adventure of Charles Augustus Milverton – 犯人は二人
The Adventure of the Six Napoleons – 六つのナポレオン
The Adventure of the Three Students – 三人の学生
The Adventure of the Golden Pince-Nez – 金縁の鼻眼鏡
The Adventure of the Missing Three-Quarter – スリークウォーター失踪
The Adventure of the Abbey Grange – 僧坊荘園
The Adventure of the Second Stain – 第二の汚点

His Last Bow – シャーロック・ホームズ最後の挨拶


The Adventure of Wisteria Lodge – ウィスタリア荘
The Cardboard Box – ボール箱
The Adventure of the Red Circle – 赤い輪
The Adventure of the Bruce-Pardington Plans – ブルースパーティントン設計書
The Adventure of the Dying Detective – 瀕死の探偵
The Disappearance of Lady Francis Carfax – フランシス・カーファックス姫の失踪
The Adventure of the Devil’s Foot – 悪魔の足
His Last Bow – 最後の挨拶

The Case-Book of Sherlock Holmes – シャーロック・ホームズの事件簿


The Adventure of the Mazarin Stone – マザリンの宝石
The Problem of Thor Bridge ソア橋
The Adventure of the Creeping Man – 這う男
The Adventure of the Sussex Vampire – サセックスの吸血鬼
The Adventure of the Three Garridebs – 三人ガリデブ
The Adventure of the Illustrious Client – 高名な依頼人
The Adventure of the Three Gables – 三破風館
The Adventure of the Blanched Soldier – 白面の兵士
The Adventure of the Lion’s Mane – ライオンのたてがみ
The Adventure of the Retired Colourman – 隠居絵具師
The Adventure of the Veiled Lodger – 覆面の下宿人
The Adventure of Shoscombe Old Place – ショスコム荘

 

次章chapter2では、わが国での様々なホームズ訳本について見ていきましょう。

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