平家物語の想い出(1)

軍記物語の頂点 令和に読んでも面白い!

先日、会社からクタクタになって帰ってきてテレビをつけると、NHKで「おとなの人形劇 平家物語」という番組をやっていました。

なつかしい!

この番組は1993年に放送されたものです。人形作家として芸術の域を極めた川本喜八郎(1925〈大正14〉年1月11日 – 2010〈平成22〉年8月23日)の手による精巧な人形が、まるで本物の武士・貴族のように躍動します。

その完成度は川本の名を一躍有名にした「人形劇三国志」を彷彿とさせます。そういえば、西行、文覚の声はまんま、孔明・関羽です。できれば、曹操役の岡本信人さんも頼朝かなんかで出て欲しかった…!?(笑)

それにしても、オープニングから叙情的で物悲しいテーマが流れます。調べると、この「人形劇 平家物語」は、吉川英治の「新・平家物語」を原作にしているとのこと。

「新平家」は、日本版「戦争と平和」というべき壮大な物語。夥しい人物が登場し、とくには熱く、時には物悲しい人間模様が息もつかせず繰り広げられます。

ただし、私はこのブログで吉川英治文庫に収録されている彼の作品すべてを紹介する予定なので、ここでは「新・平家物語」について触れません(後日、触れます)。

むしろ、この人形劇を見て子供の頃から親しんできたいろいろな「平家物語」のことが蘇ってきたので、今回を含め4回シリーズで書いていきたいと思います。

 

伝記で出会った平家の世界

私が小学校4年生の時。

それまでマンガばかり読んでいたのですが、図書室で出会った「学習まんが 日本の歴史(集英社)」をきっかけに歴史に興味を持ちはじめ、そこからいろいろな本を漁るようになりました。

我ながら言うのも変ですが、子供の好奇心というのがすごいもので、読書量が幾何級数的に増え、特に日本の歴史に関する本は親を困らせるくらいねだりまくったのを覚えています。

そうした読書歴の最初期。私が買ってもらったのが「源義経」の伝記です。

著者は今西祐行さん。彼の作品は昭和の国語教科書にも載っていたと思いますが、児童文学で大変有名な方です。子供向けの平易な文体ながら、戦いの緊張感や平泉に落ちていく義経一行の哀しみを余すところなく描いていてすばらしかった。

また、絵も良いんですね。画家の木俣清史さんは講談社火の鳥文庫で多数の挿絵を描いていますが、線の鋭いいかにも時代小説風の絵で、中でも兄・頼朝に会いにきて陣の外で待機する義経の姿絵なんて最高でした。

ところで、義経を読んだ後なんて、ヒール役の兄・頼朝は大嫌いなはずですが、私はへそ曲がりなので、同じ火の鳥文庫の「源頼朝」も直後に購入。その本にもいたく感銘を受けました。

後には非情の将軍となる頼朝も、子供の頃は「平治の乱」で父を喪い、自らも命の危険に晒されるなどさんざんな目に遭います。何とか生き延び、成長した彼は北条一族と出会い、「よっしゃ―仇うちだ!」と意気込むも、緒戦の富士川でボコボコにされてしまう…。

それでも粘り強く戦い、有能な周囲の活躍で平家に勝利。

しかし、殊勲の弟・義経から反抗され、またまた苦悩の連続。義経を討ち、やっと天下を治めますが、ホッとしたのか落馬してあっけなく死んでしまう…。弟に劣らず波乱万丈の人生です。

頼朝の方は左近義親さんという方が書いています。

余談ですが、私は小学6年生の時にこの「源頼朝」を読書感想文のテーマに選び、大阪府で特選を頂きました。非常に思い出深い作品です。

話が逸れましたが、この2つの伝記をスタートに、私は「平家物語」の原典とその時代を描く小説を読みまくりました。その中でも印象的だったものについて、次回から書いていきたいと思います。

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