悲運の文豪 一葉の足跡をたどる
我々にとって大変なじみ深い作家である樋口一葉。
で、なぜなじみ深いかと言えば、日頃見慣れた5千円札の肖像に使われているからです(-ω-;)ウーン
本当は彼女の書き残した偉大な作品群によってポピュラーであってほしいわけですが(;^_^A
まあ、こんなことを書きますと…
いやいや、お前が見当違いしているだけで、一葉はその作品によってじゅうぶん知られているよ!
そんなお叱りの言葉を受けそうです。
しかし、一葉の作品ってそこまで読まれていますかねえ?
たしかに一葉には、「たけくらべ」という、日本人なら誰でも知っている決定的名作があります。
でも、その「たけくらべ」のストーリーをスラスラ語れる人って一体どれくらいいらっしゃるでしょうか?
ましてや「大つごもり」あたりになると、何人の方がそのあらすじを答えられるでしょうか?
私の勝手な推論ですが、一葉の作品というのは、まだまだ読まれていないような気がします。
作品の本当の真価が大衆にはまだ、完全には理解されていないような気もするのです。
すなわち、21世紀になった今こそ再評価を受けるべき作家ではないか。そう思えるのです。
ところで、わたしが一葉の作品に対して感じている魅力。
それは、どこか玲瓏な美しさを漂わせるタイトルや、擬古文の流麗さを駆使した繊細な文章。そして、教義的な面がなく、やや非日常的な設定をしておきながら、人間の心の底に潜む素直な感情を生き生きと描き、それを社会の無常によって完膚なきまでに叩きのめすリアリティです。
儚い。切ない。もう本当に繊細で、この世界観の魅力にハマってしまったらなかなか抜け出せないと思います。
最近、電子書籍で一葉の全作品が簡単に読めるようにより、何気に即買いしたのですが(とはいえ、何と200円!)、擬古文独特の難解な文章に躓きはしたものの、頑張って読み続け、結果、寝ても覚めてもという状態です。
「たけくらべ」「大つごもり」「にごりえ」「うもれ木」「十三夜」。メジャーどころはどれもその名声にたがわない素晴らしさ。それから、「別れ霜」や「うつせみ」「暁月夜」といったややマイナーな作品も非常に魅力的なお話です。
一葉の魅力にすっかり憑りつかれた私は、彼女のことをもっと知るべく、吉川英治・太宰治に続いて、東京の一葉記念館も訪ねることにしました。