太平記をよみなおす 03

とにかく面白い倒幕までの展開

私は子供の頃、学校の図書室に入り浸るような少年でした。

昼の休憩時間は誰よりも早く給食を食べて図書室に駆け込み、授業が終わったらまた図書室に駆け込み、挙句には読みたい本を何冊も借りて家に帰るような。とにかく本、本、本の毎日でした。

特に貪るように読んだのは、「少年探偵団シリーズ」、「怪盗ルパンシリーズ」、そして「太平記」。

「太平記」については、もうどこの出版社であったかすら憶えていません。たしか、井原西鶴の「武道伝来記」と「武家義理物語」が収められている古典全集にハマって、それから同じ全集内の「太平記」に挑んだ記憶があります。

とにかく面白くてしようがなかった。北条高時、長崎高資の悪政に立ち向かう後醍醐天皇。何と2度も倒幕を企て、腹心の日野兄弟が良いところまで計画を進めるものの、最後は露見。後醍醐は隠岐に流される羽目に…。まさに怒涛の展開です。

そしてその頃、大阪の千早村にレジスタンス活動を繰り広げる一人の武者がいました。その名を楠木正成。

楠木正成像(大阪府千早赤阪村)

太平記の正成と言えば後半、敗戦を覚悟して死地に赴くため、悲劇の将のイメージが強いですが、序盤は絶対無敵のヒーローそのものです。山の上から幕府軍にゴロゴロと巨大な岩を落して翻弄するなど、策は奇抜、動けば疾風怒濤のごとしで、彼の胸のすくような大活躍に読み手のワクワクが止まりません。

以上のストーリーは岩波文庫ですと、1巻で読めます。

しかし、岩波は現代語訳がついていないため、子供さんが読むにはハードです(大人が読むには親切すぎるくらい丁寧な註がついていますが)。そこで、児童書の信頼できるバージョンを挙げておきましょう。

私が子供の頃に読んだワクワク感を今のお子様方にも味わってもらいたいものです。

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