司馬遼太郎記念館(大阪府東大阪市)をゆく(5)

絶対に観る価値あり、葛藤の跡残る生原稿

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さて、やっと司馬遼太郎記念館に着きました。

閑静な住宅街に突如登場するので、ちょっとびっくりしてしまいます。

訪問時、道に迷ったせいもあり、この日の目玉である「館長講演」に危うく遅れそうになり、私は入口の職員さんの親切な案内を受けながら、バタバタと中に入りました。

モクレンやスズカケの木といった緑に囲まれた庭園。心和みますね。司馬先生は、これらの植物を心から愛したそうです。

先生が傑作を綴っていたであろう書斎を通り過ぎると、企画展「関ヶ原」の看板が。

岡田准一さん主演の映画「関ケ原(司馬遼太郎原作)」に合わせて、記念館では司馬先生がこの小説のために遺した貴重な資料が展示されています。

そして、いよいよ館内。立派な回廊です。

この立派な記念館は、有名な建築家・安藤忠雄さんによって設計されました。コンセプトは、「蔵書で囲われて、闇に包み込まれたような、かすかな光の空間のイメージ」だそうです。

回廊を進んでようやく、中に入りました。上の動画にありますように、スタッフの方に「館長講演」が始まりますのでお早めにどうぞ、と案内を受け、展示場は後回しにホールへと急ぎます。

1ページ目でも書きましたが、この日は実在しないと言われた「竜馬がゆく」と「坂の上の雲」の生原稿が発見されたことを記念し、7月1日から8月31日まで行われた特別展示の真っ只中でありました。

司馬遼太郎記念館(大阪府東大阪市)をゆく(1)

特別展示では、上村洋行・館長が記念講演を1日の中で数回行います。私はお昼の部の参加。

びっしりと埋まった、40人ほどが座れる小ホールの中に、体格のいい、気品に溢れた上村館長が入ってきました。

この上村さん、何と司馬先生の義理の弟になられます。すなわち、お姉さんのみどりさんが、司馬先生の奥様だったんですね(2014年他界)。なお、上村館長ご自身も、司馬先生とゆかりの深い産経新聞の記者として、長く活躍しました。

上村さんはまず、今回の原稿の発見の経緯について、当時の新聞社内のエピソードなどを交えながら、実に丁寧にお話しされました。私はその話を聞いて、本当にこんなすごいものがよく出てきたな~、と心の底から感動したものです。

さらに上村さんは、司馬先生が校正を入れた個所、竜馬が斬られる際に刀をどちらの腕で掴んだ、とか、「天がその使命がおわったとき惜しげもなく天へ召しかえした」の一文とかを挙げ、「当時のインクで何度も書き換えた跡が分かって、司馬の葛藤がよく分かる。現代の文書入力ソフトであったなら、こうした葛藤は知る由もなかった。」と仰いました。

う~ん、なるほど! これはまさに至言だと思いましたね。

たしかにWordとか一太郎は、サクッと文章を削れますけれど、上書きしたら二度とその文は戻ってこない。ましてや、自分の死んだ後に、作者はこの文章とどちらにするか迷った、何て葛藤は絶対に第三者には分からないのですから…。

納得しつつ、館長のありがたいお話が終わるや否や、私は館内の展示場の方に移り、先程の言葉を確かめるべく、展示中の自筆原稿をじいっと眺めました。

たしかに仰るとおり。

今は目にすることも少なくなった原稿用紙に、取り消し線や塗りつぶし、書き換えの乱文字や果ては裁断の後まで残る生々しい原稿! 今の講演のとおり、そこにはまさに司馬先生、編集者、出版に携わった職人たちの葛藤と戦いの後がしっかりと刻み込まれていました。

 

多読家の司馬らしい圧倒的な蔵書 壮観!!

食い入るように原稿を見倒した後は、改めて館内に広がる巨大な書架に目を見張りました。

まるでベルギーワッフルみたいな棚にびっしりと詰まった本。

司馬先生の作品もあれば、先生が作品を書くために集めた、気の遠くなるような量の本(2万冊)が収められています。

伝わるところでは司馬先生、ある作品を書くために古書店をまわり倒し、軽トラ1台分に積んで帰ったとか。おかげでそのネタに関する資料が古書業界から消失するようなことも起きたらしいです(笑)。

まあ、司馬先生の小説に頻出する余談のネタのマニアックさも、それだけの蒐集と多読の成果だと思えば納得できますね。

館内をじっくり観察した後は、お土産コーナーへ。

お土産もなかなかファン心理をくすぐりますね。

作品名の入ったブックカバーやバンダナ、一筆箋。そして、来館記念スタンプ台がありまして、館内で買った司馬先生の文庫本に押せるというシステム。

私は下記の本を購入して、スタンプを押し、大満足の今回の旅を完了しました。

 

※なお、司馬遼太郎記念館については、下記のデータをご参照ください。

〒577-0803 大阪府東大阪市下小阪3丁目11番18号 (近鉄奈良線「八戸ノ里駅」下車 徒歩約8分)

〇開館時間:10:00~17:00(入館受付は16:30まで)

〇休館日:毎週月曜(祝日の場合は開館し翌日休館)、9/1~9/10、12/28~1/4

〇TEL:06-6726-3860 FAX:06-6726-3856

〇入館料:大人500円、高・中学生300円、小学生200円(20名以上の団体は入館料が2割引)

司馬遼太郎記念館 公式ウェブサイト

司馬遼太郎記念館(大阪府東大阪市)をゆく(4)

ちょっと難しい司馬記念館への歩き方

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さて、前ページでようやく八戸ノ里駅に着きました。

ここから司馬遼太郎記念館までは歩いてほんの15分程度なのですが、ちょっと気をつけて頂きたいことがあります。出口です。

八戸ノ里駅には二つの出口があるのですが、必ず複数のバス停車場が並ぶロータリー側の出口に出てください。

ここを間違えちゃうと完全に逆走してしまいますから…(;´д`)トホホ。

出口さえ間違わないと、あとはどんどん進むのみです。

私がここを歩いた2017年の夏は左側で何か工事中でしたが、ここに何かできれば風景が変わると思います。ただ、そのさらに左奥に小学校が見えますので、まずは校舎が目に入れば、その方角でOKです。

右手には高校のグラウンドがあって、フェンスには司馬遼太郎記念館の方角を示す大きな看板が貼ってあります。

この工事中の場所とグラウンドに挟まれた一本道をまっすぐ行くと、右手に八戸ノ里病院という建物が見えてきます。

この八戸ノ里病院の建物を過ぎて、すぐに右の小道に入ります。

上の写真に見える、「八戸の里南」交差点の標識より先に進まないよう、ご注意ください。

こういう建物と建物の間の道をとにかく真っ直ぐ真っ直ぐ進みます。

到着です!

ここまでわずか15分で来られるはずなのですが、最初は逆方向に歩いたり、八戸ノ里病院のはるか先まで歩いて行ってしまったり、大変でした。

このブログが、記念館を初めて訪れる皆さんの一助になることができれば幸いです。

さて、次ページではいよいよ司馬遼太郎記念館の中身について書いてみたいと思います。

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